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「MJ部長のコラム」(日経MJメールマガジンより)2001.6.13
■小林収

グッチ記者会見で見えた日本外交の問題

 名門ブランド、イタリアのグッチを蘇らせた男として有名なドミニコ・デ・ソーレ社長(CEO)にインタビューする機会がありました。詳細はいずれMJでご紹介するとして、ちょっと驚いたのはイタリア大使館の対応です。

 共同記者会見は、東京・三田にある大使館でデ・ソーレさんと大使が2人並ぶ格好で行われました。そして、MJとの単独会見になると、大使館ご自慢の庭園に臨むテラスに趣味の良い椅子を2脚だけ置き、インタビューの場にしたのです。僕も長年、いろんな企業のトップに会っていますが、こんな小粋な場所の設定は記憶にありません。やや近いのが、3年前、プレーを終えた後のゴルフ場のクラブハウスでWインタビューに応じたソニーの出井伸之社長(現会長)とマイクロソフトのビル・ゲイツ会長ぐらいでしょうか。

 もちろん仕掛けたのはグッチのスタッフです。スーパーブランドの企業のトップはインタビューのスタイル一つ取っても凡庸ではいけない、という考え方があるのでしょう。ただ、大使館側の全面協力がなければ、こうした設営はそもそも不可能です。イタリア大使館には、グッチというブランドがイタリアの宝だという強い認識がありました。

 我が日本国の在外公館はどうなのでしょう。グッチという1私企業のために、国を代表する大使が記者会見で並列に座り、大使館を“宣伝”のために利用させる。こんな発想は、僕の知る限り、日本の外務官僚にはありません。どこか外国で日本企業が記者会見を開いたとして、大使は「来賓」としてやってきてスピーチするのが関の山です。そこにあるのは、外務省に抜きがたく染みついている官尊民卑の思想です。

 ワイドショーをも賑わす田中真紀子大臣と外務官僚の対立ですが多くの“失言”にもかかわらず真紀子人気は簡単には落ちません。外務省の官尊民卑、唯我独尊的な体質を変えないと、国民の支持は得られないようです。 



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