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『風のように』
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「MJ部長のコラム」(日経MJメールマガジンより)2001.6.27
■小林収

「日本一」の化粧品店は、なぜか岡山県の山中にある

 流通業界を担当していて、痛切に感じるのが街の個人商店の疲弊です。東京でも地方でも、老舗の店舗の閉鎖によって商店街が歯抜け状態になっているケースは、枚挙に暇がありません。

 しかしながら、日本は広いもの。意外な場所で意外な店が頑張っているという話もまた、数多いのです。

 典型的な例が岡山県・新見市にある化粧品店Aです。新見市は中国山脈のほぼ真中に位置する人口2万5000人の小都市ですが、A店は坪効率(面積当たり売上高)で全国化粧品店ナンバー1の座をずっと維持しているそうです。なぜ、そんな小都市にあって東京や大阪の繁盛店に負けない売上を出せるのか。理由は、人情の機微を心得た接客術にあります。

 この店の女性店主は「客の顔と名前を全部覚えている」という伝説があります。もっとも、小さいとはいえれっきとした市ですから、全員の名前というのは信じ難い。実は、ちょっとしたテクニックがあるのです。

 顔はぼんやり覚えているが、店内の誰も名前を思い出せない客が来た時どうするのか。まず、1番最近入った店員(佐藤)が寄って行きます。

 店員:「いらっしゃいませ。申し訳ありませんが、どちら様でしたでしょう」
 客 :「鈴木ですが‥」
 店主 :「まあ、佐藤君、だめじゃないの。鈴木さんにお名前なんか聞いちゃ。済みませんね。まだ、入ったばかりで」

 かくして伝説は誕生します。一事が万事。この店では店主の気配りが行き渡り、商品の説明、使い方のアドバイスなど親身のサービスが受けられます。客は単に化粧品を買いにくるのではなくいわば癒しとコミュニケーションを求めてやってくるのです。

 前にMJ(5月15日付け)で紹介した岡山の元気なパナショップ、「みちにし電器」もやはり店主のアイデアと心意気が不況克服の切り札でした。全国いろいろな街にある繁盛店の秘密。それに迫るのもMJの面白さです。  



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