小林収さんへの追悼メッセージ
小林収ヒストリー
日経ビジネス
「日本型経営」改造ビジョン
TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!」
トップに戻る
 

日経MJ

『風のように』
「MJ部長のコラム」
書籍「成毛式実践マーケティング塾」 前書き 後書き
日経MJのウェブサイトへ

「MJ部長のコラム」(日経MJメールマガジンより)2001.7.25
■小林収

『ディズニーとUSJ。「2大怪物」に哲学的違い』

 夏休みが始まりました。今回、国内レジャーの大きな注目点はテーマパークの“東西決戦”です。3月末にオープンした西のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は計画以上に好調ですが、一方、東の東京ディズニーランド(TDL)はそれでも客足が落ちず、9月には新施設のディズニーシーが誕生します。世界的に見ても2大テーマパークである両者の激突は、いわば業界のゴジラ対モスラの戦い。その狭間で国内の他のテーマパークが蹂躙されるのは避けられないことかもしれません。

 2つの怪物はともに米国生まれ。巨費を投じたアトラクションや様々なショー、そして数多いキャラクターと似た部分が多くあります。しかしながら、両者には哲学的といってよい違いがあります。

 USJの大きな特徴は「マジックの種明かし」です。その代表が、「モーション・ピクチャー・マジック」でしょう。スピールバーグ監督が自ら画面に登場し、特撮の秘密を明らかにします。人気アトラクションでも、火事からの救出劇の舞台を再現した「バックファイアー」などがそうです。特撮の入った映画を見た後、我々は「どうやって撮ったのか」と不思議に思うもの。その疑問に答えて満足感を与えるのがUSJのやり方です。

 一方、ディズニーの哲学は「夢の国」です。TDLはオープン以来もう15年になりますが、「種明かしはしない」という哲学が徹底しています。誰もミッキーマウスのぬいぐるみに入っている人間を知りません。TDLの公式回答は、「あれはミッキーで、人間じゃありません」です。コンピューター制御の各アトラクションは多額の情報化投資を続けており、例えば「カリブの海賊」は「バージョン4」にはなっています。しかし、それも一切、公表されません。IT投資の現実を知らせて「夢」が壊れるのを恐れるのです。

 キーワード的に言うなら、USJが「リアル」で「ハイテク」、ディズニーが「バーチャル」で「ハイタッチ」でしょうか。そんなことを考えて両パークへ行くのも、一つの楽しみ方かもしれません。 



このサイト上の各コンテンツの著作権は小林収メモリアルサイト制作グループもしくは、このサイトにコンテンツを提供していただいた各企業、各寄稿者に帰属します。無断転載はお断りいたします。
Copyright: 2002 Kobayashi Osamu Memorial, associated companies and writersAll Rights Reserved.

このサイトに関するお問い合わせはinfo@kobayashiosamu.netまでお願いいたします。

Designed by BlueBeagle LLC