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『風のように』
「MJ部長のコラム」
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「MJ部長のコラム」(日経MJメールマガジンより)2001.9.5
■小林収

『名刺に見る「地方」の可能性』

 この商売をしていると、毎月、百枚単位で名刺を交換する機会があります。政治家の名刺のように、通常時(氏名だけが書いてあって偉そう)と選挙時(写真が入り、難読部分の氏名がひらかなになっていたりする)で全然違っていたり、中小企業のオーナー経営者なんかだと肩書きが10個以上あったり、などと、なかなか興味深いものです。

 その中で、最近、講演に行った岩手県庁でもらった名刺は、ちょっと驚きでした。表には綺麗なカラーで「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」(宮沢賢治=言うまでもないですが岩手の人)などのイメージイラスト。裏には「岩手への日本全国からのアクセス方法と時間」「岩手なんでも日本一」といった豆情報。そして、肩書きには、「県商工労働観光部・岩手ブランド推進課」とありました。

 自治体の名刺改革の先駆けは三重県です。北川知事が「仕事をすれば本人の持ち出しになるような制度はナンセンス」と、名刺作成費用が自己負担だった制度を変え、同時に「公費を使うなら三重の宣伝になるようなデザインを」と言って、松尾芭蕉、本居宣長、松坂牛、熊野など御当地の偉人、名物名所のイラストをあしらったユニークな名刺を採用しました。

その三重県でも、「ブランド推進課」という化粧品やアパレル会社のような名称の部署は持っていません。

 6年前に43歳で当選した増田岩手県知事は、日経新聞の全国知事アンケートでも「景気対策のための公共工事」にはっきり疑念を呈す改革派。ポスト公共工事のための布石として、地方発のブランド作りに力をいれているのです。

 成果は徐々にあがってきました。清涼感が強くキムチの入れ具合で辛さを調節できる「盛岡冷麺」、オリジナルの酒造好適米「吟ぎんが」を使った県内地酒メーカー共通ブランドなど、ブレイクの予感がします。

 1枚の名刺が語ってくれるものは、少なくありません。

  



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