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「MJ部長のコラム」(日経MJメールマガジンより)2001.10.31
■小林収

『テロに屈しない米企業のトップ』

 9月11日の米での大規模テロの後、空港をはじめセキュリティーチェックが非常に厳しくなりました。
 ビジネスマンの出張も総じて制限されてきています。その中で、意外とも思えるのが、米大企業のトップの果敢なフットワークです。

 私事になりますが、日経グループは9月中旬から11月まで、世界の経営トップを集めて行うセミナー「世界経営者会議」を開催しています。小生もあるセッションの司会役なので、実のところ、テロ勃発でVIPの来日が難しくなるのでは、と懸念していました。

 ところが、9月にはシスコシステムズのチェンバース会長、IBMのガースナー会長がそれぞれ予定通り講演し、10月29日、30日の本セッションも順調に進みました。米企業トップの「欠席」はゼロなのです。

 もちろん、弊社に対するいわば義理立てもあるでしょうし、この機会に大市場である日本で顧客、取引先との関係を深めようという企業戦略も見逃せません。

 しかし、根底にあるのは、「リーダーは逃げない」という基本的な心構えのように思います。

 テロの勃発時、ブッシュ大統領が一つだけ批判されたのは、「すぐにホワイトハウスに戻らなかった」という点でした。
 ホワイトハウスもテロリストの標的だったのですから、すぐに戻るのはリスクもあります。しかし、米国の世論は「戻るリスク」よりも戻らないこと、つまり「逃げるリスク」を懸念したのです。これから戦争というときにリーダーに少しでも逃げの姿勢があったのでは、兵隊(現場)は戦えません。

 これはビジネスの世界でも全く同じです。
 世界同時不況も囁かれる中、個々の企業でトップのリーダーシップは何よりも重要になっています。様々な形で発生してくるであろうリスクにどう立ち向かうか。最後にものを言うのは、細かな戦略よりも、絶対に逃げないというトップの気迫でしょう。 



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