1999年03月〜05月
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2000年 3月〜5月|6月〜8月|9月〜11月|12月〜01年2月
99年3月1日号
e革命の波に乗れ
日本が知らないネットの実力
今号の特集を読まれた読者は、最初、ぎょっとされたかもしれません。完全に架空の話とはいえ、日本を代表するメーカーのトヨタ自動車やソニーが米企業に買われる、という“新聞紙面”から始まっているのですから。
ブラックジョークを承知でこんな特集を組んだわけは、編集部が抱いている危機感にあります。この1年のインターネットを巡る米企業の動きの速さは瞠目すべきもので、ベンチャーはもちろんGEやビッグスリーといったビッグビジネスにまで急速に利用が広がっています。ここが日本企業の踏ん張りどころではないでしょうか。速水日銀総裁にインタビューでお聞きしたように、デフレ下で日本の民の「創造的破壊」が求められています。
3月1日付で弊誌の編集長が小林収に代わりました。今後ともよろしくお願いします。
99年3月8日号
過剰設備の罪
「捨てて勝つ」決断が企業を救う
小生が就職活動をしていたころ、といえばもう20年以上も昔ですが、ゼミの先輩に連れられて大手鉄鋼メーカーの高炉を見学したことがあります。溶鉱炉から出てくる真っ赤な塊を間近に見て「こういうのが男の仕事かもしれないな」と不思議な感動があったのを覚えています。おそらく、モノ作りの現場の魂のようなものを若輩ながらに感じていたのでしょう。
今回の特集は、メーカーの魂に切り込め、といっているようなもので、反発される向きもあるかもしれません。ですが、時代は変わりました。世界的にモノが余るデフレの時代には過剰設備は罪以外の何物でもありません。市場は早くも、設備廃棄を打ち出した会社に株価上昇でこたえ始めています。
インターネットを巡って会社と学生が虚々実々の駆け引きを行う最新の就職事情(第2特集)と併せ、ふと昔を思い出してしまいました。
99年3月15日号
本番!賃金革命
「年収格差10倍」に備えよ
今号では対照的な2つの特集を盛り込みました。1つは誰もが口にする「賃金革命」で、もう1つは誰も言わない「ドル暴落」です。米国が好景気を継続している半面、日本経済は底這い状態ですから、まだ円安ドル高が続くというのが常識でしょう。しかし、「まだ」は「もう」なり、が相場の格言です。1ドル=80円を突破した1995年の4月から数えると既に円安局面は4年。レーガノミクスの時代のドル高も81年から84年まで4年間続いた後、85年のプラザ合意で大修正が起こりました。今回はドルの対抗馬としてユーロも登場しています。
日本の国内景気は悪化にやや歯止めがかかってきたようですが、まだ半病人の状態であり、ドル安円高が急速に進めば衝撃は甚大です。企業経営のレベルではそろそろドル安への備えを考え始めるべき時かもしれません。
99年3月22日号
どん底決算からの出発
「攻めの赤字」が未来を開く
今号では「トレンド」のページをぶち抜いて「日産・ルノー提携の全内幕」を一挙掲載しました。日本を代表する自動車メーカーの社長が海外の大メーカーを向こうに回してどう提携交渉を進めたかという迫真のドキュメントで、国際自動車戦争の激しさがひしひしと伝わってきます。
それにつけても、決定的に重要になってきたのは激動期における企業トップの役割です。今3月期決算は史上最悪になると言われていますが、市場の反応はもう悲観論一色ではありません。ポイントは巨額赤字の向こうに将来につながる体質改善が透けて見えるかどうかです。日本の株式市場は1990年代前半の米国のように、「良いリストラ」と「悪いリストラ」、そしてそれに賭ける経営者の覚悟と力量を厳しく値踏みし始めたようです。
3月1日号から4回続けた「日本復活の条件」は、ひとまず終わります。
99年3月29日号
ニッポン医療SOS
あなたと家族は助かるか
イメージと現実とのギャップはどの分野にもありますが、「日本の医療」もその1つでしょう。今号では、先端医療で日本がどれだけ世界に後れを取りつつあるかを特集しました。
「あなたと家族は助かるか」とあえて刺激的な副題を付けたのは、取材班の危機感の反映です。2月28日には脳死者からの臓器移植が実現しましたが、これを契機に役所、医者、メーカー、健保組合、そして患者が力を合わせて現状打破に動かないと、先端医療を求めて患者が海を渡る事例が常態化しかねません。
ともあれ、大変だった1998年度はあと数日で終わり、4月からは新年度入りします。トレンド欄で特集したように、会計制度の変更や合併などでいろいろなものが変わります。医療もその1つですが、これまでタブー視されてきたものにメスを入れていく季節が日本にも到来しつつあるようです。
99年4月5日号
新世紀マネジメント
トップの一手が創る市場価値
桜前線が日本列島を北上する4月は、「始まり」のシーズンです。入学式や入社式が行われ、官庁や多くの企業の活動も新年度入りします。
そんな季節に合わせ、我々も誌面を一部模様替えしました。1つはトレンド欄に設けたコラム「e革命の波」で、世界の企業、個人を急速に巻き込んでいるインターネットなど新産業革命の波頭を伝えます。もう1つの「新世紀マネジメント」は、有力コンサルティング会社などと協力して最先端の経営手法を紹介するものです。今回は特集ですが、これからは隔週で掲載します。一方、「敗軍の将、兵を語る」は中身を厳選して隔週化し、「E-mail」「何でもベストテン」は休載します。
誌面刷新号はドラッカー氏のインタビュー、倒産直前から復活した企業の物語、知っていそうで知らない社章の「大図鑑」など盛りだくさんのメニューです。お楽しみください。
99年4月12日号
NEC捨て身の改革
負の遺産一掃、100年目の出直し
勝ち組と負け組への企業の2極化が進んでいますが、資本主義経済のおもしろいところは、常に逆転があり得ることです。「驕る平家は久しからず」がある一方で、「9回裏からの逆転」を果たす企業も珍しくありません。
前号(日本編)と今号(米国編)に掲載した企業の復活物語は、そうした起死回生がどうして可能になったかを分析したものです。意外にも、その答えは難しいものではありません。顧客の本音をくみ取り、従業員の士気を高め、目標に向けて経営陣が柔軟に対処するという、あたりまえのやり方です。
ですが、米コンチネンタル航空はそれで奇跡的に甦りました。小生は94年まで米国駐在でしたが、当時のコンチネンタルの評判たるや最悪もいいところでした。経営によってはどんな企業でも復活の可能性がある――そう考えれば、負け組になりつつある企業も少し元気が出るかもしれません。
99年4月19日号
世紀末自動車ウォーズ
日産・ルノー誕生、次に動くのは
今回は最近大きな話題を呼んだ、日本企業の海外がらみの提携・買収戦略を取り上げました。日産自動車とルノーの提携(特集)と、JTによる米RJRナビスコの海外たばこ事業買収(ケーススタディー)です。
一般的な反応は、両ケースに対してともにやや懐疑的と言っていいでしょう。日産・ルノーには「弱者連合」との指摘があり、JTには「高値づかみ」との批判が絶えません。確かに日産には過去に海外展開で何度も苦汁をなめた歴史がありますし、公社体質の残るJTが外国企業を経営できるかどうかも問題です。「失敗しそうな理由」を挙げることは簡単かもしれません。
ですが、重要なことは、両社ともグローバル市場で生き残る戦略を必死に模索していることです。斜に構えて他社の動きを批評するだけでは何も生まれません。今号では両社のケースからどう学ぶかを考えてみました。
99年4月26日号
マンションはまだ下がる
ブームに死角、買い場は2年後?
景気の低迷が続く中で、予想以上に好調なのがマンション販売でしょう。住宅減税と金利の先高機運から業界はミニブームの様相を呈しています。ただ、変化の「胎動」に水をかけるわけではありませんが、本当に今は絶好の買い場なのでしょうか。
実は小生も住宅で「含み損」を抱えている口です。1995年の夏に底値と思って中古の戸建てを買ったものの、実勢価格はそこからさらに2割近く下がってしまいました。それでも「担保割れ」にはなっていないだけ、被害は相対的に軽微なのでしょう。痛感したのは、サラリーマンにとって住宅購入のタイミングがいかに重要かです。
人生を大きく左右する3要素といわれる「入学」「就職」「結婚」にもう1つ、「住宅」を加えるべきかもしれません。ブームの裏の陥穽にはくれぐれも気をつけたいと思って、今号の特集を組みました。
99年5月3日号
「農」と言える日本
100兆円の食市場を耕せ
石原慎太郎氏が新都知事になったからというわけでもありませんが、今号では「ノー」ならぬ「農」を特集で取り上げました。
日本の農業と言えば、低生産性と保護主義の温床のように言われています。ですが、経済が発展すると第一次産業が衰退するというのは間違った常識です。国内総生産(GDP)に占める比率は下がってきても、米国の農産物は世界一の競争力を持っていますし、フランスも欧州有数の農業国の地位を保っています。
企業でも国家でも、心理的な閉塞状況を打ち破るのに一番いい方法は「負け犬」が復活することです。あんな分野(会社、個人)でも良くなるのか、と思えば元気も出てくるでしょう。これまで、衰退・後進産業にあげられてきた農業は日本の負け犬のいわば代表格。そこに秘められた意外に大きな可能性を探ってみました。
99年5月10日号
あなたの会社が変わる
急増する日本型M&Aに備えよ
リストラは必要だが“首”は切りたくない――この二律背反的な命題を背負った「日本型M&A」が急増しています。事業部門や子会社を売却するという意味ではM&Aですが、その際に「期限付き出向」などの条件を付けて雇用を守る姿勢を見せるのがいかにも日本的。東芝やNECのような大企業の子会社などの売却例が、今後のモデルになってきそうです。
今号の特集では、こうした日本型M&Aに遭遇したビジネスマンを取り上げました。
親しんだ社名が変わり、かつての同僚と離れるのには複雑な思いがあるでしょう。ただ、会社が変わるのは新たな挑戦のチャンスとも言えます。実際、成功した企業人の経歴を見ても、出向や配転がきっかけになったケースは枚挙にいとまがありません。「会社が突然変わる」時にどう対応するか。これは決してひと事ではなさそうです。
99年5月17日号
不況でも、売る!
顧客つかんだ“7人の侍”の営業改革
3月の百貨店・スーパーの売り上げが最近にない落ち込みになったことで、消費不況が一段と深刻になると懸念する向きが増えています。マクロ的に見れば確かにそうでしょう。雇用、年金、健保という将来の3大不安を抱えて、そう簡単に消費者の財布の紐が緩むとは考えられません。
ですが、個々の企業、店舗といったミクロのベースでは話は別です。国内総生産(GDP)はフローの指標で、たとえGDPがマイナス成長でも、年間500兆円規模の市場は生まれます。
この巨大マーケットで僅か0.1%のシェアを取れば、売り上げは5000億円になる計算。ビジネスチャンスがないなどというのは敗者の論理です。今回の特集では、不況の中、卓抜な営業改革、顧客満足(CS)の追求で売り上げを伸ばす「7人の侍」を取り上げました。やり方次第で活路はあることを感じていただければ幸いです。
99年5月24日号
フランチャイズの未来
コンビニ寡占化、次の成長株は
フランチャイズ制度は米国が生んだ大きな経営上の発明の1つです。ミシンで有名なシンガーがまず販売代理店に導入し、その後、マクドナルドがハンバーガー店で展開するに及んで一気に普及しました。外食やホテル、様々なサービス業などフランチャイズで発展している業界は枚挙にいとまがありません。アイデアが何より大事で、かつ大衆動員によって急普及するというのがいかにもアメリカ的です。
ですが、米国以外でそれにさらに磨きをかけているのは日本です。コンビニは日本で情報通信(IT)技術と融合して本国以上の発展を遂げ、代表格であるセブン‐イレブン・ジャパンは本家である米サウスランド社を買収するほどの力を付けました。
こうした「出藍の誉れ」はいわば日本のお家芸。今号では、不況や雇用不安の救世主となる可能性を秘めたフランチャイズの未来を考えました。
99年5月31日号
キャッシュフロー工場
現場の強みを世界標準へ
情報端末で世界が結ばれるe革命に対する大いなる誤解の1つが、コミュニケーションのあり方です。情報はインターネットで周く流れるから人的な接触は少なくなる、と思われる読者も多いのではないでしょうか。
しかし昨年秋、小生が米シリコンバレーで見聞したのはかなり違った状況でした。もちろん、インターネットはどこよりも普及していますが、それを補完する形で極めて濃密な「フェース・ツー・フェース(顔と顔)」の人間関係が幾重にも存在しています。
考えてみれば、どんなに技術が発展してもビジネスの基本にあるのは人間同士の信頼関係でしょう。とりわけ、経営にスピードが要求され先行きが不透明な今の時代には、「あいつが言うのだから」というのが意思決定の大きな要素になってきます。今号では第2特集として、ハイテク時代にこそ重要な人脈の問題を取り上げました。
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