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小林収編集長時代の特集一覧
1999年09月〜11月

1999年 3月〜5月6月〜8月9月〜11月12月〜00年2月
2000年 3月〜5月6月〜8月9月〜11月12月〜01年2月

99年9月6日号
オフィスを絞れ!
キャッシュフロー生む無血リストラ法
 蟹は甲羅に似せて穴を掘る、という言葉がありますが、人間はそうもいかないようです。ここ数年、情報通信技術の発達とリエンジニアリング(業務の根本的革新)で、ビジネスマンの仕事の進め方は大きく変わりました。ですが、それを納めるべき箱、つまりオフィスは意外に変わっていません。昔からのオフィスの中にパソコンなどが氾濫しているというのが、多くの会社の実態ではないでしょうか。
 その意味で、今はオフィスのあり方を見直すべき好機です。今回の特集で得た我々の結論は、オフィスの改革はちょっとした見直しで予想以上のコスト削減効果があるうえ、仕事の効率化、さらには人事制度改革にまで好影響をもたらすということです。特集の中にあなたのオフィスの無駄度を測る自己診断シートを付けました。弊誌はどうかですって? 残念ながら、まだ「濡れ雑巾」でした。


99年9月13日号
テレビが拓く未来
“200兆円市場”争奪の舞台裏
 「バブル社員のさばき方」という第2特集に対しては、当の30代前半の読者から反発が強いでしょう。1980年代末期の就職戦線は、空前にしておそらく絶後の売り手市場。バブル社員の多くは心の底で、「頼まれるようにして入ったのに」と会社側の変心を詰っていると思われます。ただ、大企業を中心としたリストラ機運の中で、これから年功序列で人件費が膨張してくるバブル期の大量採用者が主な標的になっているのは紛れもない事実です。
 もっとも、絶望するには及びません。有効求人倍率の高い30代は、流動化する人材市場での「売れ筋」です。バブル期の学生は、講義はともかく学外活動には熱心でした。そうしたネットワーク作りやソフト・サービス分野への関心は、むしろ今の時代にこそ求められています。バブル社員は会社に切られるのではなく、自らが時代を切り開く先兵になるのかもしれません。


99年9月20日号
生命が解明される日
“宝の山”バイオで出遅れた日本は
 21世紀をリードするハイテク産業の両雄が、ITとバイオテクノロジーであることは世界的に自明だと思われます。しかし、ITとバイオで、どちらに力点を置くかでは、各国でかなりの温度差があります。なかでも目立つのは、日本におけるバイオの相対的な軽視でしょう。企業戦略で見ても、米デュポン、独ヘキストといった世界の化学産業の巨人が、伝統的な事業を切ってまで急激にバイオへと転進しています。それに対する危機感が日本政府や多くの企業に不足しているように感じてなりません。
 今回、バイオを特集として取り上げたのはそのためです。本文で取り上げているように、ヒトの遺伝情報の集積(ゲノム)の解析が完了するのは2001年との見方が有力です。とすると、残された時間はたった2年。バイオ産業強化のため、今は官民一体で取り組むべき時期かもしれません。


99年9月27日号
特殊法人破綻度ランキング
キャッシュフローで見る官の商法の限界
 ビジネスの世界では、成功者は誇らしげに語り、失敗した人々は口をつぐむ、というのが常識でしょう。ただ中国に限っては、儲けている企業の方が黙っているとの不思議な現象があるようです。だいたい「中国ビジネス」という言葉自体が奇妙で、世の中には「米国ビジネス」などという表現はありません。それだけ、この市場が特異で、事業モデルの確立が難しいことを示していると思われます。
 とはいえ、巨大な隣人である中国が日本企業にとっていつまでも特殊な存在では、両国間の関係にも良い結果をもたらしません。今回の特集で取り上げた中国での「勝ち組」のやり方は、最大の資源であるヒトをコスト、頭脳の両面で生かすという実にオーソドックスなものです。この10月は新中国の建国から50年。勝ち組に学びながら対中事業の再構築を考えるのには、好機かもしれません。


99年10月4日号
企業短命化の衝撃
盛期は5年、復活へ5法則
 弊誌が「会社の寿命は30年」というテーゼを打ち出したのは1983年でした。それから16年、我々自身が30周年を迎えます。雑誌も企業と同じで時代に合わせて変わっていかないと生き残れません。今号では特集で適者生存、復活のための法則を打ち出していますが、雑誌全体としても、表紙デザインを含めて大幅な誌面改革を実施、31年目の再出発を期すことにしました。
 最も大きな改革は従来の「トレンド」欄の大幅拡充です。「時流超流」と名称も新たにして、時代の潮流、ニュースの深層を追いかけます。さらに「人ニュース」「新製品トレンド」という2つのコーナーを設け、話題の人事の裏側や読み筋、ヒット商品の分析や売れ筋ランキングを掲載します。小生が今春に編集長に就任してからわずか半年で、日産・ルノー提携、興銀、第一勧銀、富士の3行統合などかつては考えられなかった再編が起こりました。急激に動いている時代を、この欄で切り取りたいと考えています。
 大型ノンフィクションもスタートさせます。多くの読者にとって素朴な疑問の1つは、ほんの10年前まで世界に覇を唱えた日本が、なぜ、そしてどうして、これほどの長期不況に呻吟しなければならなくなったのか、ではないでしょうか。その疑問に答え、日本経済再構築のための貴重な教訓にするには、もう一度、バブルの勃興と破綻のプロセスを徹底究明しなければなりません。「泡沫」では、バブルの寵児と言われたEIEの高橋治則氏の事跡を手がかりに、ほとんど表に出なかった事実や証言を引き出し、バブルの本質に迫ります。
 21世紀を目前にして、経済社会には2つの大きな潮流が見えてきました。1つは変革のエンジンがインターネットに代表される、国境を超えた情報通信革命(e革命)だということでしょう。弊誌では3月1日の特集から「e革命」シリーズをスタートさせていますが、この欄はさらに充実させます。さらに次号(10月11日号)では、米国に立ち遅れたかに見える日本のe革命での意外な底力と可能性を特集します。
 もう1つは、国家や企業以上に、個人の役割が重要になってきたことです。テクノロジーの発展とともに浮かび上がってきたのは、意外にも「企業はヒトなり」という古典的な真実でした。ベンチャーはもちろん、大企業の再生にしても、そこには卓抜なリーダー、優秀なミドルの存在があります。一方で、企業に対するリストラ圧力は弱まっておらず、個々のビジネスマンがスキルをどう磨くかは、かつてなく重要になってきています。そのため、誌面の後尾にあった「オフビジネス」のコーナーも一新させました。
 「本」については新たなコラム「注目の書 著者に聞く」を最終ページに設け、他のコラムは「パーソナル」という新名称の下で再編成し、ビジネスマンに役立つヒントを満載しました。グローバル化を生き抜くために「英語の強化書」という新コラムも始めます。
 オピニオン欄の充実もポイントです。未来がどうなるか、日本はどうすべきか、今ほど議論が必要な時代はないかもしれません。舵取りを間違うと、国家も企業も沈没します。そこで、従来の「視点」に加えて、「異説異論」をスタートさせるほか、読者の意見を反映する「NB世論」のコーナーも設けました。読者からのご意見は手紙、インターネット両方で募集しています。新誌面への評価も併せ、ご意見をお待ちしています。


99年10月11日号
e革命 第2の波
日米大逆転へ
 e革命での日米逆転という今特集に対しては、訝しく思われる向きがあるかもしれません。弊誌は3月1日号で最初のe革命の特集を行いましたが、その際は「日本が知らないネットの実力」というサブタイトルをつけ、日本のインターネット利用での大幅な立ち遅れを指摘していたからです。
 しかし、ネットの世界の変化は予想以上に急激です。言われているように、通常の時間の7倍の速さで進むドッグイヤー(犬の時間)だとすると、7カ月というのは約4年に相当します。競争環境に変化が起きても当然でしょう。実際、急成長している「iモード」のサービス開始はこの2月でした。
 もちろん、「ケータイ」「カーナビ」「コンビニ」という“3K”がe革命の本当の主役になるかどうかは不透明ですが、米国が席巻しているかに見えたネットビジネスでの日本の健闘は十分、吟味に値すると思います。


99年10月18日号
俺たちが造る環境大国
地方・中小発、ニッポン再生の処方箋
 新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調、亀井正夫会長)という組織が動き出しています。財界、労働界、学者、マスコミなど民間人に加えて、10月からは超党派で多数の政治家も参加しました。小生もそのメンバーなのですが、分科会でよく話題になるのが地域経済の疲弊です。地場産業の衰退と自治体財政の破綻で、景気回復への道が見えないのが実態です。
 その数少ない突破口になるのが、今特集で取り上げた「環境」だと思われます。日本全国の中小企業の元気な姿に、地方とモノ作りという2つの再生への息吹を感じました。


99年10月25日号
日本的経営の新基準が見えた
21世紀に栄える会社ランキング
 企業ランキングにはいろいろな種類があります。大企業の代名詞である「フォーチュン500」は売上高による順位付けで、ビジネスウィーク誌の「グローバル1000」は株式時価総額が尺度。また、フォーチュン誌はより多面的な指標を使い「最も賞賛される会社」というランキングも作っています。
 今回の特集は、これら先達にならって、弊誌独自に新時代の「良い会社」を選んだものです。株主、従業員、顧客、社会の4つを満足させ、かつ経営自体の革新性にも富むというのが基準です。日本的経営の改革の方向性を示す一助になれば幸いです。


99年11月1日号
ヒット商品はこう創る
「ポスト不況」のマーケティング
 今号の第2特集を見て、「俺のコースが入っていない」と訝しく思われる読者があるかもしれません。従来ゴルフ雑誌などが実施してきたランキングとは2つの点で異なっているからです。1つは一般的な読者・ゴルファーではなく、数多くの一流コースを知る識者で選考委員会を作って選んだこと。もう1つは今や世界的に主流の「ベント1グリーン」を主体にランキングしたことです。このため、歴史のある名門コースでも、2グリーンは今回はランキングの「対象外」になっています。2グリーンのコースのランキングは来月に掲載します。


99年11月8日号
もう新卒は要らない
「中途」「即戦力」に絞る企業
 「就職氷河期」という言葉が使われ始めてもう何年になるでしょう。原因は不況だけではなく、企業の採用の仕方が構造的に変わってきたことにあります。「新卒・定期」採用は、「終身雇用」と表裏一体であり、雇用の流動化が進んできた中で、新卒採用だけが昔のまま残る方が不思議です。
 今回の特集は学生諸君には厳しい話かもしれませんが、しかし、ものは考えよう。卒業時の挑戦で蹴られても、能力を磨いていけば「第二新卒」などの道も開けているのです。どんな人材なら採用されるのか。そんなヒントも盛り込んでみました。


99年11月15日号
盛田・井深の遺伝子
世界に広がる「一心二体」経営
 国内で一番店舗数が多い百貨店は?と聞かれて、「そごう」と答えられる読者は少ないでしょう。銀座や新宿など代表的な繁華街には大型店がないのですが、地方と首都圏郊外に積極出店することで、いつの間にか日本一になりました。しかし、この出店至上主義の経営が大きな仇になっています。そごうの店舗は売り場面積こそ巨大なものの、肝心の商品力が伴っておらず、今のようなデフレの時代には弱さが露呈します。29カ所に及ぶ店舗はこれからどうなるのか。今回のケーススタディーは苦悩する巨大百貨店グループに迫りました。


99年11月22日号
小さな強い小売り
ここまでやる 常識破りの繁盛店
 日産自動車の再建計画に対しては、反発する声が社内外に多いようです。雇用問題を気にする政府はともかく、産業界にも冷ややかな見方があります。山一から長銀まで続いた経営破綻の連鎖が止まり、国民に危機感が薄れてきた分だけ、大規模な人員削減策への抵抗が強くなっているのでしょう。
 しかし、日産の再建で重要なのは人減らしではありません。慣習に囚われた過去のやり方を全面的に見直し、強い組織と人材を作るのが眼目です。今号でひとまず日産の連載は終えますが、今後もこの「文化革命」をフォローしたいと考えています。


99年11月29日号
企業が政策をつくる日
進めよ、もう1つの政治改革
 10月から連載を始めた「泡沫(バブル)〜失われた90年代」は、おかげさまで多方面から反響が取材班に寄せられています。元大蔵省銀行局幹部の方から「バブルを検証するにはちょうどよい時期で、当時どこで何を間違えたのかを考えながら読んでいる」とのコメントをいただきました。第3部からはいよいよ、バブル絶頂期に高騰した土地、株式、ゴルフ会員権、絵画などを検証し、日本の歪んだ経済システムに原因があったことを解き明かしたいと思っています。真相に近づくにつれ、構造的な問題は今も変わっていないと思わざるを得ません。



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