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小林収編集長時代の特集一覧
2000年09月〜11月

1999年 3月〜5月6月〜8月9月〜11月12月〜00年2月
2000年 3月〜5月6月〜8月9月〜11月12月〜01年2月

2000年9月4日号
会社人間でなぜ悪い!
平成版 生き残りの方程式
 21世紀へ向けて日本の構造改革を進める上で、最も重要な問題の1つが税制だと思われます。財政再建のためということだけではありません。そもそも税というものが、国家と社会の在り方と密接不可分だからです。
 その日本の税制について、恐らく一番詳しい人物が加藤寛・千葉商科大学学長でしょう。この7月末まで10年近く政府税制調査会の会長の座にあり、政治と役所の力学が複雑に絡む税制改革の表も裏も知り尽くしておられます。今号と次号の2回にわたって、加藤会長の激白を掲載し、日本の税の未来を考えます。


2000年9月11日号
小さな車の大きな市場
21世紀の主役Cカー制するのは誰だ
 1990年代前半に米国で「ダウンサイジング(規模縮小)」という言葉が流行りました。大型の汎用機から小型のパソコンへというコンピューターの世界での潮流を意味したのですが、単なるハードの交代劇にとどまらず、情報処理のシステム、ひいては企業組織の在り方にまで影響を及ぼす大革新になったのはご承知の通りです。
 実は、自動車における小型車の隆盛にも同様の幅広いインパクトがあるのではと考えています。パソコンに相当する21世紀の「Cカー」が自動車産業を、そして社会をどう変えていくのか。特集してみました。


2000年9月18日号
船井電機
コスト削減の鉄人

 外国へ行ってイメージとの落差に驚くことはよくありますが、今回のロシアは特別でした。スーパーには野菜や果物など生鮮食品が山のように並び、大通りには何軒もの高級ブランド店、若い女性のファッションもなかなかの水準です。少し前の「飢饉報道」は何だったのか、というのが実感です。
 とはいえ、豊かさを支えているのは“ヤミ経済”です。原潜事故の処理の遅れや当たり前のように街で流通する米ドル紙幣は、国家としてのロシアの立て直しの困難さの反映です。日本の対ロ政策も含めて考えるべきことが多いと感じました。


2000年9月25日号
日本はまた沈む
2002年、国債暴落のシナリオ

 堺屋企画庁長官は景気の現状を飛行機に例え、「離陸はしたが、まだ飲み物は出ない段階」と表現しています。しかし、本当にそうでしょうか。
 “ニッポン号”は機体には荷物(不良債権)を積みすぎ、チケットを持たない客(過剰雇用)すら乗っているようです。これでは、高度を上げることは不可能でしょう。景気については世間全般にややホッとした雰囲気が出てきていますが、実はここから2002年春までの18カ月が、新世紀に日本が沈むかどうかの分かれ目なのです。今号の特集では、あえて日本の先行きに警鐘を鳴らします。


2000年10月2日号
会社が壊れる
他人事ではない腐敗自滅の構図

 21世紀まで、あと90日を切りました。しかし、間近に迫った新世紀は、我々の予想以上に不確実性に満ちているようです。
 日本経済は本当に復活するのか、情報技術(IT)などの新テクノロジーは社会をどれだけ変えるのか。こうした大きな問題の答えが見つからないまま、時代変化のスピードだけが急速に上がっています。そこで弊誌「日経ビジネス」では、創刊記念に当たる今号から誌面を一部刷新し、いくつかの新企画を同時スタートさせることにしました。
 第1は「新世紀マネジメントスペシャル」の「リスク極小化の経営」です。今号の特集で取り上げたように、様々な可能性に溢れた新世紀は、同時に、一つ間違えば会社は壊れ、取締役は天文学的な額の訴訟にさらされるリスクに満ちた時代です。日本企業に希薄だったトータル・リスク・マネジメント(TRM)をどう構築していくか、これから10回にわたって連載していきます。
 次に、将来を開くカギであるITについて、その光と影を考える連載もスタートします。その1つが、姉妹誌である「日経コンピュータ」との初の共同企画です。経営に強い弊誌と技術の専門家である日経コンピュータの協力で、正しいIT投資の在り方を突き詰めていくつもりです。eコマースの主舞台であるコンビニエンスストアを特集したブック・イン・ブック「eコンビニ」と合わせてお楽しみください。
 もう1つが、IT時代の寵児である孫正義ソフトバンク社長を主人公にした長期連載ノンフィクション「幻想曲」です。孫社長が日本のネット社会のリーダーであることは誰しも否定できませんが、構想の先行きについてはなお見方が分かれています。孫社長という希代のキャラクターの軌跡をたどりながら、日本のIT革命の将来を展望したいと考えています。
 未来技術と言えば、バイオテクノロジーも重要です。今号から「技術」のコラムを使って、日本のバイオ産業の可能性を探ります。
 コラムでは海外の有力マスコミの論調がわかる「On the Globe世界鳥瞰」を新設しました。弊誌はかねて米国の「ビジネスウィーク」「ウォールストリート・ジャーナル」「バロンズ」と提携していましたが、今回、それに世界で最も影響力のある雑誌の1つである英「エコノミスト」が加わりました。これを機に従来の海外特約を大幅に拡充して、有力マスコミの論調が一目でわかるようにしました。
 もちろん、従来のコラムも強化します。ニュース即応のページである「時流超流」は今号からさらにページ数を増やしてニュースの先取り・深掘りを強化するとともに、ビジネスマンの話題になるような「耳寄りな話」をどんどん入れていきます。
 不確実性の時代を生きるカギは、結局、どれだけ情報を収集し、どこまで考え抜けるかです。「政治が悪い」とか「米国の陰謀だ」とか嘆くのは敗者の論理ですし、「景気は気から」とばかりに意図的に楽観論をぶつのは精神的モルヒネでしょう。
 21世紀は決して楽な時代ではありません。その現実を直視した上で、一歩一歩、自力で事態を打開して前に進んでいこうという企業と個人。弊誌はそういう人たちに21世紀への「入り方」を示唆できる雑誌になりたいと念願しています。


2000年10月9日号
彼女が消費をやめた理由
反旗を翻したマーケットリーダー

 今号の表紙に使ったフランシスコ・ゴヤの「着衣のマハ」は謎に満ちた作品です。全く同じ構図で着衣と裸体と2作書かれたのは前例がありませんし、モデルについても公爵夫人とか、宰相の愛人とか、諸説紛々です。ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」もそうですが、モデルが若い美女であることが、ミステリー性をより強めています。
 そういえば現代の日本でも、トレンドセッターと呼ばれる若い女性層の好みは企業にとっては謎の部分が多いようです。最近のヒット商品、不発商品の分析などを通して、現代女性の意外な消費行動を探りました。


2000年10月16日号
工場独立宣言
モノ作りで生き抜く7つの条件

 今号の特集の主人公2社、ソニーとソレクトロンは太平洋を挟んで鏡のような関係にあります。片や一番アメリカ的と言われる日本の大企業、もう一方は日本的「魂」を持った米国企業です。共通するのは「モノ作り」に対するこだわりでしょう。
 日本の産業空洞化は、今回は本当に深刻かもしれません。米国に情報技術(IT)で大幅先行された上、中国がコストはもちろん、今や品質でも追いつく勢いです。国内の個々の工場が国際競争力を持ち「独立宣言」できるかどうか。そこに21世紀の日本の将来がかかっているような気がします。


2000年10月23日号
良い上司
管理職受難の時代の行動学

 今年のノーベル物理学賞の受賞者の名前を見て、読者の方は「おや?」と思われたかもしれません。受賞者の1人、ロシア・ヨッフェ研究所のアルフョーロフ所長は、9月18日号で小生がインタビューした、まさにその人です。ヨッフェはロシアが科学技術復興の悲願をかけた研究所であり、今回の受賞はロシアにとって久々の朗報です。
 今号では、同じく物理学賞受賞者のキルビー氏の単独インタビューも掲載しました。日本では白川英樹・筑波大学名誉教授の化学賞受賞の喜びの陰に隠れた格好ですが、時代を拓いた碩学の発言はやはりさすがです。


2000年10月30日号
待った!その値下げ
「売れる価格」はこう作る

 京都市内で行った佐藤研一郎ローム社長とのインタビューは、夕食をはさんで4時間にも及びました。最初の写真撮影の時こそ硬かった佐藤さんの表情も、話が進むに連れてほころび、卓抜な比喩とユーモアの交じった大変興味深い内容になったと思います。
 本編からこぼれた話でぜひとも紹介したいのが、財団の活動です。未来のクラシック音楽界を支える人材に多額の支援をしているのですが、佐藤さんは全く表に出ず、完全な「足長おじさん」に徹しています。それが本来のフィランスロピーとはいえ、誰にでもできることではありません。


2000年11月6日号
迫られる雇用開国
外国人受け入れ 無策のツケ

 日本の自由化を巡る論議の中で一番見方が分かれるのは、外国人労働者の受け入れでしょう。情報技術(IT)関連を中心に国境を超える人材の大争奪戦が起こっている半面、巷での凶悪犯罪には不法滞在の外国人の影もちらつきます。なかなか一筋縄ではいきません。ただ、はっきりしているのは、“労働鎖国”を続けてきた日本も何らかの答えを出さざるを得なくなっているという事実です。技術者だけを受け入れるといった「いいとこ取り」は許されません。21世紀の日本の浮沈がかかる外国人労働者問題。今号はそれを大きく特集しました。


2000年11月13日号
日産改革の真実
ゴーンと普通の社員の激動1年

 『なぜ会社は変われないのか』(柴田昌治著)という本が数年前、ベストセラーになったことがあります。柴田さんはこれに続けて『なんとか会社を変えてやろう』『ここから会社は変わり始めた』とシリーズ本化されたほどで、それだけ日本の会社、特に大企業が変わるのは難しいようです。
 その意味で、大多数のビジネスマンが大きな関心を持つのは日産自動車の改革でしょう。ゴーン社長の下で収益的には劇的復活を遂げつつありますが、どこまで会社は変われるのか。特集ではゴーン氏だけではない日産改革の真実に迫ります。


2000年11月20日号
ウェルチが21世紀に残すもの
「破壊」から見えてくる未来

 当初の予定では、今号では米国の官と民の実力トップの交代劇を分析するはずでした。史上最長の好景気をもたらしたクリントン大統領と現存する最高の経営者ウェルチGE会長。この両者の交代の節目が11月にあったからです。ところが、ご承知の事態。大統領選挙は当確者が決まらずに再集計のはめになり、ウェルチ会長は引退時期を来年末まで延期しました。
 ある種の異常事態ですが、それが起こることが世紀末の米国の構造変化が一筋縄ではいかないことを物語っています。「時流超流」と「特集」で米国の激動の深層に迫ってみました。


2000年11月27日号
中国は世界の工場
日本は呑み込まれる

 取材によって従来の通説・常識を突き崩す――。ジャーナリスト冥利に尽きる瞬間ですが、今回の特集では取材班の全員がそんな体験を共有しました。それだけ、中国の変化のスピードが激しいことを物語っています。
 弊誌は昨春から米国発のe革命の凄さを伝えてきましたが、膨大な人的資源をベースにした中国発の“生産革命”も龍のリズムとして世界を揺るがし始めたようです。ITがバーチャルだとすると中国はモノ作りというリアル。その両方を組み込んだ最強のビジネスモデルがユニクロではないか。そんなイメージで今を見ています。



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