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小林収編集長時代の特集一覧
1999年06月〜08月

1999年 3月〜5月6月〜8月9月〜11月12月〜00年2月
2000年 3月〜5月6月〜8月9月〜11月12月〜01年2月

99年6月7日号
午前3時の日本経済
眠れる景気を覚ます最期の処方箋
 古くからの日経ビジネスの読者の方なら覚えておられるかもしれません。弊誌は1990年3月12日号で、「午後4時の日本経済」という特集記事を掲載しました。時代はまだバブルの余韻が残り日経平均株価も3万円台でしたが、日本は明らかに落日に向かっているとの編集部の判断が「午後4時」という見出しにつながりました。
 それから9年、暗闇の中で模索を続けてきた日本経済にようやく微かな明かりが見えてきています。それが今回、特集を組んだきっかけです。「夜明けが近い」と言えば強気に過ぎますが、もはや「真夜中」ではない「午前3時」が景気の現状ではないでしょうか。
 ただ、じっと待っていれば日が昇るというほど楽観的ではありません。従来型の景気刺激策ではなく、官民ともどう構造改革を打ち出すかが焦点です。夜明けがいつ来るかは、我々自身の今後の対応にかかっています。


99年6月14日号
小さな強い会社
一歩先を行く地方の大改革
 先日、日本青年会議所(JC)が主催した日本経済再生のための「円卓会議」にパネリストとして招かれました。同席したリコーの浜田広会長は最近、「不景気」という言葉を社内で禁句にしたそうです。医療・福祉や環境など成長分野がいっぱいあるのに日本経済を「悪い」の一言で片づけていると、商機も見えてこないためです。
 浜田さんは社長に就任した時も、「忙しい」「疲れた」を禁句にしたとのこと。確かに、後ろ向きの言葉を使っていると姿勢まで消極的になってしまいます。JC会員からは、業績悪化を不況のせいにする経営者は「不況(卑怯)者だ」との発言もありました。
 今回の特集で取り上げた金融版の「小さな強い会社」は、不況者ではない典型的な例です。小規模、地方、規制という厳しい条件の下でも創意工夫で元気を保つ信用金庫などのケースは、他の業種にも参考になりそうです。


99年6月21日号
価格のリストラ
ピンポイントで儲ける7カ条
 企業のマーケティング担当者がいま、一番頭を悩ましているのは価格設定だと聞きました。画期的な新製品が出にくくなってきた中で、手っ取り早い販促手段は値下げです。といって、それで売れ行きが大きく伸びる保証はありませんし、ブランドイメージを落とす危険性とも背中合わせです。
 一昔前にはどんな商品にもあった「値頃」というのが、円高下での「価格破壊」とその後の「デフレ」を経て、非常に見えにくくなってきました。それだけに価格設定には細心の注意が必要ですが、その重要性はまだ十分には認識されていないようです。
 米国では数年前に「マジック・プライス」という言葉が流行りました。意訳すれば、「つい、手が出てしまう価格」。そんな魔法のような手法があるのかどうかは、米国でも結論が出ていませんが、今号の特集ではデフレを生き抜く価格の経営学を考えました。


99年6月28日号
新生NTTが日本を救う
ネット社会を拓く3つの提言
 雑誌や新聞が「提言」することには、賛否両論あると思います。批判の多くは、意見の「押しつけ」への反発からくるのでしょう。マスコミの本分は読者に対する良質な判断材料の提供であり、そこから先は読者それぞれの問題、というわけです。
 小生は基本的には提言は好きではありません。ですが、時にはジャーナリズムとして提言する覚悟を持たないと、記事は単なる情報の垂れ流しや無責任な批判に堕ちてしまいます。
 今回の特集の最後を提言の形に持っていったのは、日本の新産業革命の進展にとって情報通信インフラを押さえるNTTの役割が極めて重要になっているためです。NTTが変わろうとしていることは事実ですが、“ドッグイヤー”にはそのスピードは遅すぎる懸念がぬぐえません。今回の特集が情報通信インフラを巡る議論の一層の盛り上がりにつながれば、幸いです。


99年7月5日号
部品独立宣言
覇権争うスーパーサプライヤー
 最近、経営者の方と話していて議論の分かれるのが「アジアが復活したかどうか」です。株価の上昇など復活を示すような数字が出てきている一方で、失業の増大や政治不安といった問題も指摘されています。
 議論が分裂する理由の一つはアジアの一体性が薄れてきていることでしょう。小生が香港に駐在していた1980年代後半には成長イメージから「アジアは一つ」と言われていましたが、もともと「アジアは一つひとつ」と言われるほど多様性のある地域です。アジア観の違いはインドネシアを見ているか、タイを見ているかといったことにもあるように思われます。
 その意味で、復活の先頭に立っているのは韓国です。今回のビジネス・リポートでも述べていますが、今後のアジアの復活を占う上で、ビッグディールを含めて韓国のリストラを再点検すべき時期かもしれません。


99年7月12日号
2005年衰亡か繁栄か、両極の未来
日本はこうなる
 弊誌「日経ビジネス」はおかげさまで、7月19日号で1969年秋の創刊から1000号目を迎えます。そこで、1000号とその前後にあたる7月12日号(1000マイナス1号)、7月26日号(1000プラス1号)の3回を使って大型特集を組むことにしました。
 共通するテーマは「日本の未来」です。1回目の今号では日本という「国家」に焦点を合わせました。日本経済は懸命の景気刺激策によって今年第1四半期の国内総生産(GDP)が予想外に上昇、目先の危機は回避したかに見えますが、将来に目を転じれば楽観は全く許されません。歴史的な分水嶺である2005年のタイムリミットまでに構造改革を断行しないと、特集で示した最悪シナリオが現実のものになってしまいます。
 日本の未来はどうなるのか。次の1000号では「企業」編、1001号では「個人」編をお届けします。


99年7月19日号
21世紀版良い会社
個が輝く新従業員主義
 英語の概念が日本語に翻訳されて意味が変わってしまう、というケースはしばしばあります。最近の顕著な例は「リストラクチャリング」でしょう。英語の本義は「事業の再構築」で、ゼネラル・エレクトリック(GE)がやったように、「選択と集中」に基づいて事業のプロセスやポートフォリオを抜本的に再構築することを言います。ですが、日本に入って「リストラ」と和製英語化された途端、戦略の有無にかかわらず人員削減策の代名詞と化してしまいました。
 創刊から1000号となる今号のテーマは、言ってみれば「さらば!リストラ」です。新従業員主義と副題を付けましたが、時代の最先端をいく米シリコンバレーの企業が「できる奴」には異常なほどカネをかけているのが象徴的でしょう。企業にとって最大の資産はヒト、という万古不易の真理を改めて噛みしめたいと思います。


99年7月26日号
翔け日本人
起業家精神が時代を動かす
 日本人に関する昨今の国内論調を見ると、2つのことに気がつきます。1つはマゾヒズム(被虐性)で、もう1つが極端から極端へと走る性向です。
 ここ1、2年の日本的システムに対する過度の批判は、外国人が訝しがるほどで、何か破滅を待ち望んでいるような感すらありました。バブルの盛期の日本流が世界を席巻するかのようなムードからの変化率の大きさは、「鬼畜米英」から「ギブ・ミー・チューインガム」へと一転した敗戦時の価値転換を笑えません。
 必要なのは自己否定でも過信でもなく、等身大に自己を見つめ直すことでしょう。すると、明らかに将来へ希望をつなぐ芽が出てきていることに気づきます。歴史上の転換点で日本人が発揮してきた、ベンチャースピリット(起業家精神)を今回は取り上げました。1000号プラスマイナス1のシリーズはこれで終わります。


99年8月2日・9日号
ソリューションの魔術師
富士通、57兆円市場で勝つ秘密
 小生自身がそういう年代に入ったのかもしれませんが、同年配のビジネスマンの方たちと夏休みについて話すと「スポーツ・レジャーより緑陰読書」と答えられる向きが少なくありません。日常の忙しさの中で本を読む時間はどうしても薄まりがち。夏の長期休暇に、新刊書から古典まで含めて“充電”を図りたい、というのは共通の思いのようです。
 その一助になればと、弊誌では今号から「私はこんな本と生きてきた」という夏季特別連載を始めました。登場人物はユニークな視点と切れ味を持った経営者、評論家、学者などを厳選しています。一番手となる唐津一東海大学教授のお薦めは、各省庁の白書。特に1999年度版の『中小企業白書』は「出来がよい」そうです。小生も『経済白書』以外はどうせ“官報”として遠ざけてきました。意外なところにネタ本はあるようです。


99年8月16日号
本社はここに移せ
10年で激変!ビジネス街マップ
 大都市の再開発が日本で急速に進むのは、意外にも不況の時と言われています。景気後退で地価が低下し、開発のコストが下がる一方で、不況対策の一環として様々な公共事業などが執行されるためです。最近の東京都心などでの再開発計画を見ていると、5年ないし10年後には都内の街の様相は一変するような気がします。
 そこで取材班では、いま進められている開発計画を整理して、首都圏を中心にして大胆な街の未来図を描いてみました。「e-タウン」「メディアコースト」「マネーヒルズ」といった我々が付けた新街路の名称にみられるよう、牽引役となっているのは情報・通信、メディア産業と金融サービスです。4日に公示された全国の地価(路線価)は7年連続で下落しましたが、次代のリーディング産業の立地をにらんで、そろそろ今後反転に向かいそうな場所を探す時期かもしれません。


99年8月23日号
ホンダは生き残れるか
英雄なき単独走行の限界
 経営は結果だ、とよく言われます。確かに、どんな格好のいいことを言っても、ろくに配当も払えない会社ではしょうがありません。とはいえ、結果さえ出せばそれでいい、というほど日本社会は単純ではないようです。
 その代表が今回、特集で取り上げた本田技研工業の川本前社長でしょう。一部から「ヒトラー」と言われたような剛腕で改革を断行、「ワイガヤ」など聖域だった本田宗一郎氏以来の企業文化にもメスを入れました。結果として収益はV字型に急回復しましたが、川本氏は中興の祖になるどころか、実にひっそりと社長を退きました。
 確かに川本時代に本田から「ホンダらしさ」が薄れたことは確かでしょう。しかし、「らしさ」だけでは食っていけません。吉野社長がグローバル競争の時代にどうホンダイズムを打ち出していくのか。日本企業の経営問題としても目が離せません。 


99年8月30日号
超円高再燃の恐怖
火薬庫になった米国経済
 日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行が「大統合」へ――19日に飛び込んできたこのスクープは、ニュース慣れしている小生にも大変な驚きでした。持ち株会社という新しい手段と、ビッグバンという環境大変化の賜物でしょう。日本は米国とは違って、金融界と産業界が株式持ち合いと融資系列で結ばれており、金融大統合は産業界にも影響を与えざるを得ません。今号ではトレンド欄の大半を使い、3頭取への緊急インタビューを盛り込んだ総力特集を組みました。
 一方、本特集のほうでは、日本にとって最大の関心である米国経済の行方をディベートの形で載せています。弊誌の牧野は米国に留学し、チューリヒとニューヨークの特派員を経験、谷口もやはり米国留学の後、現在ロンドン駐在です。身びいきではなく専門家同士です。読者はどちらに軍配を上げますか。ご意見をお寄せください。



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