小林収さんへの追悼メッセージ
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心優しく思いやりにあふれた大先輩
小林収編集長時代
小林収編集長インタビュー
書籍「こんな経営手法はいらない」
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小林編集長インタビュー
1999年12月〜02月

1999年 3月〜5月6月〜8月9月〜11月12月〜00年2月
2000年 3月〜5月6月〜8月9月〜11月12月〜01年2月

1999年12月6日号
森田 富治郎氏[第一生命保険社長]
 金融業界での再編劇は市場により近いところから、規制が残るところへと舞台を移していっています。まず「証券」から始まり債券を発行する「長信銀」、更に「都銀」「損保」と続きました。次が「生保」で、最後が官営の「郵貯・簡保」ではないかというのが小生の勝手な推測です。
 かつて欧米で「ザ・セイホ」と称されたように、日本の生保会社の経営は世界的に見ると相当に特殊です。米国ではメトロポリタン・ライフなど大手が相次いで株式を公開して資金調達力を強化してきています。日本の大手生保も相互会社形態の見直しも含め再編に乗り出すべき時期にきたようです。


1999年12月20日号
庄山 悦彦氏[日立製作所社長]
 今から1年半ほど前に弊誌で「沈むな!日立」という特集をやりました。有り余る経営資源をうまく生かせられない日立に対して辛口のエールを送ったつもりでしたが、連結で3000億円を超す巨額の赤字計上を経て、この巨艦も目覚めたようです。庄山社長の就任時に比べると株価が2倍近くに上昇したのが日立の変身に対する市場の評価を示しています。
 日立が完全復活したのか即断はできません。IT関連への巨額投資も具体化はこれからです。ただ、社内全体に一種の危機バネが働いているのは確か。この危機感の共有が続くかどうかが、次のポイントになりそうです。


2000年1月3日号
ジャック・ナッサー氏[フォード・モーター社長兼最高経営責任者(CEO)]
 「自動車の世紀」といわれる20世紀。その主人公だった米ビッグスリーは世紀末の今、それぞれが全く違った道を歩み始めています。クライスラーは独ダイムラーに事実上呑み込まれ、GMはいすゞ、スズキ、スバルという3枚の日本カードで必死の生き残りを模索中です。そうした中でフォードが着々と新世紀に向けて手を打てる強みはマネジメント力にあります。
 議決権株の40%をフォード家が持つという特異な構造が、甘い経営を許しません。コストカッターでならす剛腕CEOと創業家直系で理想家肌の会長という今の組み合わせは、企業統治の1つのモデルともいえそうです。


2000年1月10日号
出井 伸之氏[ソニー社長兼最高経営責任者(CEO)]
 ビジョンを外へ発信するのが企業トップの最大の仕事としたら、いま出井さんの右に出る経営者は世界的にも少ないかもしれません。米国のコンピューター見本市(コムデックス)で日本人として初めて基調講演をしたと思えば、北京では学生相手に一席ぶちました。世界を股に掛けたこうした活躍がソニーの高株価を支えています。
 その出井さんが2000年の挑戦に掲げたのが、ネットが世界を覆う時代のeガバナンスです。自ら言っているように、これはまさに「教科書」のない分野。ソニーが世界に先駆けてどんなモデルを打ち出すのか。今年もこの会社からは目が離せないようです。


2000年1月17日号
柳井 正氏[ファーストリテイリング社長]
 多くの創業経営者とお会いしてきましたが、柳井さんほど自分と会社とを冷静・客観的に見ている人物は初めてです。「僕は頭が悪い」というトップも大抵は一種の衒いで、「頭の良い人」を大量に経営幹部に招いたりはしません。それが、マッキンゼーなどから若い俊英をスカウトして権限を委譲しました。個人と企業の関係でも、これだけはっきり言う経営者は稀です。
 世襲は明確に否定し、所有と経営の分離を打ち出しています。米国のフォードやウォルマートが念頭にあるのでしょう。21世紀を見据えて新たな経営モデル構築を図っていることが、高株価の真の原因のようです。


2000年1月24日号
山口 光秀氏[東京証券取引所理事長]
 昨年末にスタートしたマザーズでの公開株人気は、予想以上のものすごさでした。インターネット総合研究所の時価総額は9000億円を突破し、総合化学首位の三菱化学を抜きました。今年は6月に日本版ナスダックも開設されるとあって、かつてない新規公開ラッシュになるのは間違いありません。
 それだけに、取引所の役割は重要です。山口さんが「ウソやインチキ、隠し事はいけない」と繰り返しておられるように、不公正な取引を見逃すことは自殺行為です。世界的にも株式市場は新産業の勃興や個人のドリームの実現の場になってきました。公正さを担保する仕組みが欠かせません。


2000年1月31日号
御手洗 冨士夫氏[キヤノン社長]
 日本の大企業のトップで、御手洗さんほど米国流の経営を肌で知っている人はいないかもしれません。実に20年にわたって米国に駐在、米国法人のトップも務めました。連結経営、キャッシュフロー重視などは文字どおり自明の理だったわけで、「人事政策以外はもともとインターナショナル」と看破できるのもうなずけます。
 ただ、日本に戻った89年の段階では、米国の情報通信革命はまだ花が開いていませんでした。米国流経営を熟知する御手洗さんが、次のインターネット時代にどんなビジネスモデルを打ち出せるのか。そこに、次のキヤノンの飛躍のカギがあると感じます。


2000年2月7日号
リチャード・ブランソン氏[ヴァージングループ会長]
 経営トップは「歩く広告塔」だとよく言われますが、広告効率がヴァージンほど高い企業もちょっとないでしょう。何しろ日本の自動車メーカーが宣伝に使うぐらい様子がいいし、気球とかヨットとか冒険者のイメージにもこと欠きません。同グループはブランドイメージに非常に重きを置いていますが、ブランソン会長の存在自体が最大のブランドのようにも思えます。
 経営のやり方は多面展開の続行、株式非公開、自前主義と今の潮流に逆らっていますが、それも人と違うことにこだわる同社の特性なのでしょう。この“反逆児”がネット事業でも成功するか、大いに興味をそそられます。


2000年2月14日号
ルチアーノ・ベネトン氏[ベネトングループ会長]
 ベネトン会長の発言で一番印象に残ったのは、パソコンとも携帯電話とも車の運転とも無縁の生活をおくっているというくだりです。インターネット時代はトップ自らが情報端末を操作するとのイメージがあるだけに、ちょっと違和感がありますが、かなり本質的なものを含んでいるようです。
 経営トップの最大の仕事は、溢れる情報の中から本質的なものを抽出し、将来ビジョンを打ち出すことでしょう。とすれば、重要なのは「考察する」ための余裕と時間です。誰もが可能ではないですが、時にはルチアーノさん流に、“特権階級”として情報を遮断するのも手かもしれません。 


2000年2月21日号
北川 正恭氏[三重県知事]
 小生が米国に駐在しているとき、日米の違いを一番感じさせられたのが地方自治体の知事でした。米国で州知事といえば権限から言ってもミニ大統領。自らの構想力に則った政策を遂行でき、クリントン大統領のように州知事から大統領というケースも珍しくありません。それに対し、日本の知事は有り体に言えば“お飾り”でした。
 それが変わるきっかけになったのが三重県などでの改革派知事の登場でしょう。「しつこいことだけは優れている」「できることから始めればよい」といった北川さんの発言には、役所以上に官僚化した組織を抱える大企業を変えるヒントもありそうです。


2000年2月28日号
田邉 充夫氏[ファミリーマート社長]
橘高 隆哉氏[サンクスアンドアソシエイツ社長]
 株式市場でのコンビニ株人気はとどまるところを知りません。昨年の10月に弊誌は「e革命第2の波、日米大逆転へ」という特集を組み、ケータイ(携帯電話)とコンビニが日本のe革命の先導役になるとの図式を打ち出しました。その後も期待感は予想を上回るスピードで高まっています。
 とはいえ、肝心の各チェーンのトップの「e-コンビニ」のイメージは、まだそれほどクリアではないようです。この産業は加盟店のオーナーが一国一城の主であり、彼らが納得しないと力は出ません。どんなビジネスモデルを開発できるか、今年はコンビニ本部の知恵と構想力の勝負といえます。



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