小林収さんへの追悼メッセージ
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心優しく思いやりにあふれた大先輩
小林収編集長時代
小林収編集長インタビュー
書籍「こんな経営手法はいらない」
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小林編集長インタビュー
2000年12月〜02月

1999年 3月〜5月6月〜8月9月〜11月12月〜00年2月
2000年 3月〜5月6月〜8月9月〜11月12月〜01年2月

2000年12月4日号
モーリス・チャン氏[台湾積体電路製造(TSMC)会長]
 日本の産業文化の特徴はモノ作りにあると言われますが、日本以外でそのカルチャーを色濃く持っているのが台湾でしょう。パソコンのマザーボードなどハイテク製品からゴルフクラブのようなスポーツ用品まで「メード・イン・タイワン」が世界を席巻している例は相当な種類に及びます。
 そうした台湾モノ作りの伝統とシリコンバレー文化が結びついたところに咲いた大きな花が、チャンさんが確立した半導体のファウンドリーではないでしょうか。栄枯盛衰の激しい半導体産業で、一企業ではなく新しいビジネスモデルを作り上げたことが、高収益・高成長の秘密だと思います。


2000年12月11日号
ジョン・ロス氏[ノーテル・ネットワークス社長兼最高経営責任者(CEO)
 名門企業の変身といえばジャック・ウェルチ会長率いるGEが有名ですが、変身の度合いとスピードについては、ノーテルの方が上手かもしれません。保守的で動きの鈍い大企業を、たった2年でシリコンバレー的な社風へと変えてしまったのですから。
 その変身の秘訣が、単なるトップダウンではなく、若手社員による改革チームだったというのは驚きです。確かにトップと若手で上と下から挟むように進めるのは効果的でしょう。日本の日産自動車の“ゴーン改革”も構造は同じです。名門大企業の復活劇では、強い危機感を持つ有能なミドル、若手の活躍が最大のカギだと思います。


2000年12月18日号
丹羽 宇一郎氏[伊藤忠商事社長]
 相場の世界にクラッシュ・アンド・リバース(破壊の後の回復)という言葉があります。いったんは売り叩かれた後、悪材料を出し尽くして急反発する構図です。ここ1、2年の日本の大企業でこれが当てはまるのが伊藤忠商事と日産自動車でしょう。日産が外国人の手によったことを考えると、和製モデルは伊藤忠ぐらいかもしれません。
 98年秋の金融危機の際に160円台まで落ちた株価は、不良資産の一括償却と収益回復によって、500円台に戻りました。「20世紀に出した負債は20世紀中に片付ける」。リストラを断行した丹羽さんの覚悟は、再生を図る日本人全体が共有すべきだと考えます。


2001年1月1日号
張 富士夫氏[トヨタ自動車社長]
安藤 国威氏[ソニー社長]
 両社長とのインタビューを終えて改めて感じたのは、「神話」を持てる企業の強さです。トヨタ生産方式とソニーの小型化技術。ノウハウを導入した企業は多々ありますが、本家とはどこか違います。それは、トヨタでは大野耐一、ソニーなら井深大といった抜きんでた個人の息づかいを伴って、精神が伝承されているからです。どんなに分厚くとも、書かれたマニュアルではこうはいきません。
 とはいえ、トヨタもソニーも創業時の群像に直接接していない若手社員が増えてきたのも事実です。次の代に神話をどう伝えていくか。“伝道師”たるお二人の責任は重そうです。


2001年1月8日号
ハインリッヒ・フォン・ピーラー氏[シーメンス社長兼最高経営責任者(CEO)
 21世紀の最初にお届けする号の編集長インタビューに、あえて欧州企業を登場させました。というのも、シーメンスは日本の大メーカーの「半歩先」を走っているからです。「ニュートロンハインリッヒというあだ名だけは勘弁」と米国流の丸呑みは拒否しながら、万人単位で雇用が動く大がかりな事業再編を推進しています。サービス化やナレッジマネジメントの活用なども日本企業にとって身近な課題です。
 ピーラーさんが懸念するように、日本の経営者は確かに米国一辺倒のところが否めません。時には誇り高き欧州企業を見て、バランスを取ることも必要なようです。


2001年1月15日号
ゴー・チョクトン氏[シンガポール首相]
 シンガポールというのは一種のエクセレントカンパニーです。リー・クアンユー(上級相)、ゴー・チョクトン(首相)という強いトップの指導力で右肩上がりの成長を続け、財務体質は強靱。「安全」「清潔」といったブランドを構築し、FTAという“国際提携”を展開しています。「小国」というより、従業員(人口)300万人を超す「巨大企業」でしょう。
 その経営センスに溢れたゴー首相が日本の背中を押している意味は重大です。今の国際情勢は、企業でいえば新技術によって業界地図が激変している状況。提携戦略に後れを取ると、日本は孤立するかもしれません。


2001年1月22日号
川口 順子氏[環境大臣]
 「環境」と「女性」には親和性があるのでしょう。21世紀を迎えて、世界の環境大臣はフランス、日本、米国と相次いで女性になりました。どこの国でも環境保護運動のリーダーには女性が目立ちます。最近の急速な環境破壊が、女性の種族維持本能を目覚めさせているのかもしれません。
 その中で、日本が川口さんというカードを持ったのは大きいでしょう。企業、役所、NGOそれぞれの立場から環境問題を見られる上、通産省随一と言われた英語力があるからです。とはいえ、世界的な環境意識の高まりと日本の国益を共鳴させていくのは難題。初代大臣の責務は重そうです。


2001年1月29日号
立石 義雄氏[オムロン社長]
 2000年の大晦日。京都ではあえて季節はずれに、五山の送り火を行いました。20世紀の霊魂を送るべく、凍てる空に「大」の文字を輝かせたのです。この行事を見て、改めて京都という町の歴史意識の深さを感じました。
 「人真似をしない」という京都人気質も、結局そこから来るのでしょう。歴史にどう残るかを意識すれば、二番煎じは意味がないし、右顧左眄うこさべんしない良い意味の頑固さが大事になってくるからです。立石さんが冗談っぽく「偏屈」と評されましたが、21世紀の日本人に必要なのは、この種の偏屈さでしょう。ちょっと評価が甘いですか?
 実は、小生も生粋の京都人です。


2001年2月5日号
西澤 潤一氏[岩手県立大学長
 理系と文系という日本的な二分法は間違っているとかねて思っていましたが、西澤先生とのインタビューでその意を強くしました。
 歴史や文学など文系の素養のない科学者は独創的にはなれないし、物理学や化学に音痴の経営者では視野は広がらないでしょう。
 その意味で、日本の教育というのは危機的な状況にあります。少子化のせいで大学は入学試験をどんどん簡素化しており、教養のない学生が大量生産されかねません。理系文系それぞれで、これだけは知っておかないと、という基礎教養を樹立しないと日本の21世紀は暗そうです。


2001年2月12日号
小倉 昌男氏[ヤマト福祉財団理事長]
 インタビューの後、「スワン」の1号店でパンを買いました。障害者と健常者が並んで働き、そこに普通のOLが買いにくるという風景が銀座に溶け込んでいます。これこそが福祉なのでしょう。編集部に戻って食べたパンにはどこか懐かしい味がしました。
 パンの次は豆腐だ、炭だと、小倉さんの探求心は衰えることを知りません。文化人類学者レヴィ・ストロースは、人間の基本的な欲望として個の保存(食欲・睡眠欲)、種の保存(性欲)と並んで、自分の周囲の環境を理解したいという知的欲求を挙げています。小倉さんを見ていて、この高名な学者の説を思い出しました。


2001年2月19日号
日野原 重明氏[聖路加国際病院理事長]
 編集長インタビューを2年間やってきましたが、「箱乗り」、つまり車の中で聞くはめになったのは今回が初めてです。日野原さんのスケジュールは大変過密で、聖路加から講演予定会場の新横浜プリンスまでの車の中しかインタビュー可能時間はありませんでした。
 それにしても、齢90にして何というエネルギーでしょう。ある学者の説を引用しようと思うと、その場で胸元から携帯電話を取り出して秘書に確認されました。その反射神経! 日本の高齢化問題を考えるうえで、日野原さんは生きた教科書かもしれません。もちろん、この教科書、誰でも真似られるわけではありませんが…。


2001年2月26日号
ジョン・ヘネシー氏[スタンフォード大学学長]
 シリコンバレーでヘネシーさんに会った後、日本に戻って東京大学の佐々木毅教授(4月から学長)にインタビューしました。期せずして、日米を代表する大学のトップに会ったわけですが、お2人の立場は相当違います。
 ヘネシーさんは佐々木先生より10歳年下で、一旦起業した後に大学に復帰し、改革を陣頭指揮しています。佐々木先生は「東大学長」らしからぬ洒脱な人柄ですが、文部科学省と教授会を相手にその個性を出すのはなかなか難しいでしょう。米国の大学学長は英語ではプレジデントで、社長と同じ。それぐらいの権限を持たさないと大学改革は難しいのかもしれません。



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